妊娠中期から後期にかけて、「お腹が張るな…」「これって、もしかして切迫早産?」と、不安になったり、ネットで検索したりしたことがあるかもしれませんね。初めての妊娠ならなおさら、「この張りは普通?それとも危ないサイン?」と判断に迷うことも多いと思います。
「切迫早産」という言葉は、やはり少しドキッとしますよね。でも、必要以上に怖がりすぎず、体のサインについて正しく知り、不安な時はいつでも医療機関に相談できる、という安心感を持つことが大切です。
この記事では、切迫早産がどんな状態を指すのか、妊婦さん自身が気づきやすい「体のサイン」にはどんなものがあるのか、そして病院ではどのように診断され、赤ちゃんのためにどんな対応がされるのかについて、あなたの不安な気持ちに優しく寄り添いながら、分かりやすく、より具体的に解説します。
体のサインを見逃さず、不安な時にどう行動すれば良いかを知って、心穏やかに妊娠期間を過ごすためのガイドとして、ぜひ参考にしてくださいね。
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切迫早産ってどんな状態?早産との違いは?
「早産」とは、妊娠22週0日から36週6日までの間に赤ちゃんが生まれてしまうことです。そして、「切迫早産」は、今はまだ早産ではないけれど、早産になりかけている、いわば「早産の黄色信号」が出ている状態を指します。
具体的には、妊娠22週以降に、以下のような状況が見られる場合に「切迫早産」と診断されることがあります。
- 子宮が収縮している(お腹が張る): 通常、妊娠中もお腹の張りはありますが、切迫早産の場合は、休んでも治まらない、規則的、頻繁、または痛みを伴う張りが見られます。
- 子宮頸管(子宮の出口)が変化している: 子宮頸管が短くなったり、子宮口が開き始めたりしています。これは、お腹の中で赤ちゃんが育つための「入り口」が、出産準備よりも早く変化しているサインです。
- 出血がある: 性器から出血が見られます。
- 破水している: 赤ちゃんを包む膜が破れて、羊水が出てきてしまいます。
切迫早産は、これらのサインが見られた段階で適切に対応することで、多くの場合、赤ちゃんが正産期に近い時期までお腹の中で成長できるようになります。大切なのは、「もしかして?」と思った時に、早く専門家に見てもらうことです。
【これって普通?】妊婦さん自身が気づきやすい切迫早産の「体のサイン」
妊娠中、お腹の張りやちょっとした痛みは誰にでも起こりうるものですが、切迫早産が疑われる「注意すべきサイン」には、以下のような特徴があります。日頃からご自身の体と対話して、小さな変化にも気づけるようにしましょう。
注意すべきサイン | 具体的な状態のチェックポイント | 「いつもの張り」との違い |
---|---|---|
お腹の張り | ・頻繁に張る: 1時間に何度も張る(例:1時間に4〜5回以上)。 ・規則的に張る: 〇分おき、というように一定の間隔で張りが繰り返される。 ・休んでも治まらない: 横になって安静にしても、張りが改善しない、または強くなる。 ・痛みを伴う: 張りとともに、生理痛のような痛みや、キューっとした強い痛みがある。 | いつもの生理的な張り(体を動かした後などに起こり、休むと治まる、不規則な張り)とは異なり、頻度、規則性、持続性、痛みの有無が判断のポイントです。 |
腹痛 | ・下腹部や腰に、持続する痛みがある。 ・張りに伴う痛みだけでなく、張りがなくても痛みを感じる場合。 | 妊娠初期のチクチクした痛みや、生理的な張りに伴う一過性の痛みとは異なり、痛みが続く、または徐々に強くなるといった特徴があります。 |
性器出血 | ・茶色っぽい少量から、鮮血で生理のような量まで、性器からの出血全般。 | 少量の出血でも、切迫早産のサインである可能性があります。自己判断せず、必ず医療機関に連絡を。 |
前期破水 | ・温かい液体(羊水)が、チョロチョロと少量ずつ、またはドッと流れ出てくる感覚。 ・尿漏れかな?と思っても、止まらない、または量が多い場合は破水の可能性。 | 破水は、感染のリスクを高め、早産に繋がります。破水が疑われたら、清潔なナプキンなどを当てて、すぐに医療機関へ。 |
その他「いつもと違う」体調 | ・胎動がいつもより少ないと感じる。 ・お腹が重く感じる、下がった感じがする。 ・いつもと違う違和感や、何かおかしいという感覚。 | ママの直感は大切です。「いつもと違うな」と感じたら、遠慮せず医療機関に相談しましょう。 |
これらのサインが見られたら、慌てずに、まずはかかりつけの医療機関(産婦人科)に連絡してください。症状や妊娠週数などを伝えて、指示を仰ぎましょう。
病院ではどう診断される?赤ちゃんのために行われる対応
切迫早産のサインが見られた場合、病院ではママと赤ちゃんの状態を詳しく調べ、診断に基づいて適切な対応が行われます。
病院での診断
- 内診: 医師が子宮口の状態(開いているか、柔らかさなど)を直接確認します。
- 経膣超音波検査: 子宮頸管の長さ(子宮の出口の筒の部分の長さ)を測定します。子宮頸管が短いと、切迫早産の可能性が高まります。
- NST(ノンストレステスト): お腹に機械をつけて、赤ちゃんのお腹の張り(子宮収縮)と、赤ちゃんの心拍の変化を記録します。張りの強さや頻度、張りに対する赤ちゃんの反応などを確認します。
- 感染の検査: 性器からの細菌感染が切迫早産の原因となっている場合があるため、おりもの検査などが行われることもあります。
切迫早産と診断されたら行われる対応
診断の結果、切迫早産と判断された場合、赤ちゃんが正産期(37週)までお腹にいられるように、以下のような対応が行われます。
対応 | 具体的な内容 | 目的 |
---|---|---|
安静指示 | ・自宅での安静(家事や外出を控えるなど)。 ・病状によっては、入院(管理入院)して、ベッド上での絶対安静。(→管理入院の記事も参考に) | 子宮への刺激を減らし、子宮収縮を抑えることで、早産の進行を防ぎます。 |
薬物療法 | ・子宮の収縮を抑える薬(「張り止め」などと呼ばれます)を、飲み薬や点滴で投与します。 ・感染がある場合は、抗生剤を使用します。 ・妊娠週数が早い場合(特に34週未満など)は、赤ちゃんの肺の機能などを成熟させるための注射(ステロイド)を行うこともあります。 | 子宮の収縮を直接的に抑えたり、早産の原因となっている問題を治療したりします。赤ちゃんの体の準備を促す場合もあります。 |
子宮頸管縫縮術 | ・子宮頸管無力症と診断された場合など、子宮口が開いてこないように、子宮口を糸で縛る手術を行うことがあります。 | 物理的に子宮口が開くのを防ぎ、早産を予防します。 |
切迫早産と診断されて、安静を指示されたり、入院になったりすると、不安や心配で心が押しつぶされそうになるかもしれません。しかし、これらの対応は全て、お腹の赤ちゃんが元気に生まれるための、そしてママの体を守るための最善の医療的判断です。医師や看護師さんを信じて、一緒に頑張りましょう。
切迫早産について迷ったら、迷わず医療機関へ連絡を
妊娠中の「お腹の張り」は、生理的なものと切迫早産のサインの区別が難しい場合があります。自己判断で大丈夫だろうと決めつけず、少しでも気になることがあれば、迷わず医療機関に連絡することが大切です。
特に、以下のサインは切迫早産の可能性が高い、または緊急性が高いサインです。
- お腹の張りが頻繁(1時間に4〜5回以上)で、休んでも治まらない。
- お腹の張りが規則的に繰り返され、痛みを伴う。
- 性器出血がある。
- 破水したかもしれないと思う(温かい液体が流れ出る)。
- いつもと違う、強いお腹や腰の痛みがある。
これらのサインが見られたら、時間外であっても迷わず、かかりつけの医療機関に電話で連絡し、指示を仰いでください。 慌てずに、まずは落ち着いて連絡することが重要です。
まとめ:体のサインを知って、不安な時は専門家を頼ろう
切迫早産は、妊娠中に早産になりかけている状態を指し、お腹の張りや痛み、出血といったサインが現れます。これらのサインは、ママ自身が気づくことができる大切な体からのメッセージです。
「お腹の張り」と一言で言っても、生理的な張りか、切迫早産のサインか、判断に迷うことがあると思います。判断に迷う時や、ご紹介した「注意すべきサイン」が見られたら、自己判断せず、迷わず医療機関に連絡することが最も大切です。 専門家は、ママの状態と赤ちゃんの状態を適切に判断し、必要な検査や対応をしてくれます。
切迫早産と診断されても、多くの場合は適切な管理によって妊娠を継続できます。不安な気持ちは一人で抱え込まず、医師や助産師さんを信じて、一緒に乗り越えていきましょう。あなたの体からのサインを知って、不安な時は専門家を頼ることで、心穏やかに赤ちゃんを迎える準備を進められるはずです。心から応援しています!
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