お腹に新しい命を宿す妊娠期間は、ママの体が大きく変化し、必要となる栄養素も普段とは異なります。中でも特に重要なのが鉄分です。鉄分は、ママ自身の健康だけでなく、お腹の赤ちゃんの健やかな成長に不可欠な栄養素。
しかし、「一体どれくらいの鉄分が必要なの?」「食事だけで足りるの?」と疑問に感じるプレママもいるかもしれませんね。ここでは、妊娠中に必要な鉄分の目安量と、その重要性について詳しくお伝えします。
なぜ妊娠中は鉄分が「いつも以上」に必要なの?
妊娠中に鉄分の必要量が増えるのには、大きく分けて3つの理由があります。
- 1.ママの血液量の増加:妊娠すると、ママの体は赤ちゃんに酸素や栄養を届けるため、血液量を約1.5倍に増やします。この時、血液中の赤血球を作るために大量の鉄分が必要となるのです。
- 2.赤ちゃんの成長:赤ちゃんも、ママの血液から鉄分を受け取り、自分の血液や筋肉、臓器などを形成します。特に妊娠後期には、出産後のための貯蔵鉄(体内に蓄える鉄分)を蓄えるため、活発に鉄分をママから受け取ります。
- 3.出産時の出血に備える:出産時には、多かれ少なかれ出血を伴います。事前に十分な鉄分を蓄えておくことで、出産後の貧血を予防し、ママの回復を助ける役割も担います。
妊娠中の鉄分摂取量の目安は?
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」PDFによると、妊娠中の鉄分の1日あたりの推奨量は以下のようになっています。
- 非妊娠時(成人女性):6.5mg
- 妊娠初期:9.0mg
- 妊娠中期〜後期:16.0mg
※数値は目安であり、個々の体調や血液検査の結果によって異なります。必ずかかりつけの医師に相談してください。
見ての通り、妊娠中期から後期にかけては、非妊娠時の約2.5倍もの鉄分が必要になることが分かります。この量を毎日の食事だけで賄うのは、非常に難しいのが現状です。
また同時に妊娠時にはカルシウムも必要になるのですが、過剰摂取すると鉄分や亜鉛の吸収が阻害されるため注意が必要です。
鉄分不足で貧血になると、どうなるの?
鉄分が不足して貧血になると、ママの体には様々な症状が現れます。
- めまい、立ちくらみ
- 疲れやすい、体がだるい
- 息切れ、動悸
- 顔色が悪い
- 頭痛、耳鳴り
- 食欲不振
これらの症状がある場合は、鉄分不足のサインかもしれません。放置すると、出産時のリスクが高まったり、産後の回復が遅れたりする可能性も考えられます。また、赤ちゃんの成長にも影響を及ぼす可能性も指摘されています。
食事とサプリメントで賢く補給
推奨量を食事だけで摂るのが難しい場合は、医師や管理栄養士に相談の上、鉄剤やサプリメントを上手に活用することも大切です。鉄分は、動物性食品に含まれるヘム鉄(肉、魚など)の方が、植物性食品に含まれる非ヘム鉄(ほうれん草、ひじきなど)よりも吸収率が良いという特徴があります。また、ビタミンCと一緒に摂ることで、非ヘム鉄の吸収率もアップします。
妊娠中は、定期的に血液検査が行われ、鉄分の状態もチェックされます。もし貧血と診断された場合は、自己判断せずに、必ず医師の指示に従いましょう。大切な命を育むために、賢く鉄分を補給して、元気いっぱいの妊娠期間を過ごしてくださいね。
妊娠中 鉄分 摂取量に関するQ&A
Q1:妊娠初期のつわりで食事が摂れない場合、鉄分は大丈夫ですか?
A1:妊娠初期のつわりで食事が摂れない時期は、鉄分だけでなく全体的に栄養が不足しがちになります。この時期は無理せず、食べられるものを優先し、少量でもこまめに栄養を摂ることが大切です。もし極端に食事が摂れない場合は、かかりつけの産婦人科医に相談し、必要であれば鉄剤やサプリメントの処方について相談しましょう。
Q2:鉄分補給のために、どんな食材を積極的に摂るべきですか?
A2:鉄分には、肉や魚に含まれる吸収率の高いヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります。どちらもバランス良く摂ることが大切です。
- ヘム鉄が豊富な食材:赤身肉(牛肉、豚肉)、レバー(ただし、ビタミンAの過剰摂取に注意)、カツオ、マグロ、あさりなど。
- 非ヘム鉄が豊富な食材:ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品(豆腐、納豆)、プルーン、レーズンなど。
非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップします。
Q3:貧血と診断されたら、鉄剤を飲む必要がありますか?
A3:はい、貧血と診断された場合は、食事からの摂取だけでは不十分なことが多いため、医師から鉄剤が処方されることが一般的です。鉄剤は、不足している鉄分を効率よく補給するためのものです。自己判断で服用を中止したり、量を調整したりせず、必ず医師の指示通りに服用しましょう。
Q4:鉄分サプリメントは、市販のものでも大丈夫ですか?
A4:市販の鉄分サプリメントを利用したい場合は、必ず事前にかかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談してください。妊娠中の鉄分摂取は非常に重要ですが、過剰摂取も健康に影響を与える可能性があります。また、市販のサプリメントによっては、鉄分以外の成分が妊娠中に適さない場合もありますので、専門家のアドバイスを受けることが不可欠です。
Q5:鉄分摂取で便秘になることはありますか?その場合の対処法は?
A5:特に鉄剤(サプリメントも含む)の服用によって、便秘や胃の不快感などの副作用が出ることがあります。もし便秘になった場合は、食物繊維を多く含む野菜や果物、海藻類を積極的に摂り、水分を十分に補給しましょう。それでも改善しない場合は、医師に相談し、便秘薬の処方や鉄剤の種類の変更などを検討してもらうことも可能です。自己判断で鉄剤の服用を中止しないようにしてください。
まとめ
妊娠中の鉄分摂取は、ママと赤ちゃん両方の健康を支える上で非常に重要です。妊娠中期から後期にかけては、普段の約2.5倍もの鉄分が必要となるため、食事だけでなく、必要に応じて医師の指示のもとで鉄剤やサプリメントを上手に活用することが大切です。定期的な血液検査で鉄分の状態を把握し、貧血予防に努めましょう。大切な命を育む今だからこそ、賢く鉄分を補給して、元気いっぱいの妊娠期間を過ごしてくださいね。
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