西日本豪雨の被害
2018年(平成30年)7月に発生した「西日本豪雨(平成30年7月豪雨)」は、西日本を中心に記録的な大雨をもたらした未曾有の災害でした。全国では死者224名、行方不明者8名という甚大な人的被害が生じ、住家被害も全壊6,695棟、床上浸水8,640棟にのぼるなど、戦後最悪規模の風水害となりました。停電や断水といったライフラインの寸断、鉄道や高速道路の広範囲にわたる運休・通行止めなど、社会インフラも大きな打撃を受けました。
島根県においても、7月5日から9日にかけて県東部から西部にかけて断続的な大雨を観測しました。特に島根県を流れる一級河川「江の川(ごうのかわ)」流域での被害が顕著でした。上流域にあたる広島県での記録的な大雨の影響を受け、江の川本川の水位が急激に上昇。これにより、下流域の島根県側では本川への流れが妨げられる「バックウォーター現象」や支川の逆流が発生しました。
この結果、島根県内では川本町や江津市を中心に床上浸水151棟、床下浸水37棟などの住家被害や農地被害が発生しました。川本町では一部の地区で昭和47年水害に匹敵する水位を記録し、多くの家屋が浸水するなど深刻な状況となりました。交通インフラにおいても、県内のJR線で運転見合わせが相次ぎ、道路の通行止めなどにより地域住民の生活に大きな影響が及びました。
この豪雨災害は、県外の雨が引き起こす河川水位の上昇が、県内の浸水被害に直結するという地理的特性を浮き彫りにしました。この教訓から、島根県では以降、ハザードマップの精緻化や避難行動計画の策定など、地域コミュニティごとの防災・減災対策の重要性が再認識されることとなりました。8年が経過した今、当時の記憶を風化させず、地域での避難シミュレーションや日常的な備蓄を再確認することが、次世代の命を守ることにつながります。
島根のこの8年:防災の歩み
島根県ではこの8年間、ハード・ソフト両面での防災強化が進んできました。特にハザードマップの更新や、避難行動要支援者への個別避難計画の策定が進んでいます。しかし、災害はいつどこで起こるかわかりません。「自分の住む地域は大丈夫」と思わず、最新のハザードマップを自治体サイトで確認することから始めましょう。
西日本豪雨を受けどんなことに注意したらいい?
妊娠中の家庭にとって、災害への備えは「自分自身」と「お腹の赤ちゃん」の二人の命を守るための準備です。避難時の身体的負担や、避難生活における環境変化への耐性が、普段とは大きく異なることを前提に行動する必要があります。
西日本豪雨の際、島根県の河川流域で発生したような「急激な環境変化」に備え、妊娠中に特に意識すべきポイントをまとめました。
1. 「早めの避難」が鉄則:母体への負担を最小限に
お腹が大きいと、避難所までの移動は想像以上に時間がかかります。足元が悪い中での移動は転倒のリスクも高く、切迫流産・早産などの不安要素を抱える場合、長時間の歩行は厳禁です。
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注意点: 避難所までの道のりが浸水していたり、暗闇の中を歩くのは危険です。
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アクション: 避難勧告が出る前の「高齢者等避難(警戒レベル3)」の段階で、早めに安全な場所へ移動を開始してください。明るいうちに、タクシーや自家用車で、まずは実家や安全な親戚宅、ホテルなどへ移動する判断も「立派な防災」です。
2. 「母子手帳」と「お薬」を最優先の必需品に
避難先で医療サービスが受けられなくなった時、母子の健康状態を証明するものがなければ、適切なケアが受けられない可能性があります。
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注意点: 避難時にバッグの中身を整理する余裕はありません。
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アクション:
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母子手帳・健康保険証・診察券: 常に一つのポーチにまとめ、玄関先や寝室のすぐ手に取れる場所に置くか、防災バッグの最も取り出しやすい場所に入れておきましょう。
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お薬の予備: 医師から処方されている薬がある場合は、常に数日分を多めに持ち、防災バッグに常備しておいてください。
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3. 「冷え」と「衛生」対策:お腹の赤ちゃんのために
避難所は床が冷たく、空調の管理が難しい場所も多いです。また、感染症リスクや衛生面の問題は、妊婦さんにとっては特に注意が必要です。
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注意点: 身体を冷やすことはお腹の張りに直結し、不衛生な環境はトラブルのもとになります。
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アクション:
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保温対策: 大きめのブランケット、使い捨てカイロ、厚手の靴下は必須です。
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衛生用品: 感染症対策としてアルコール消毒液や除菌シートを多めに。また、お腹が大きくなるとトイレの回数も増えるため、携帯トイレを必ず備えておいてください。
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4. 身体への負担軽減:楽な姿勢と移動を工夫
妊娠中の避難生活では、硬い床での就寝や座りっぱなしは身体への負担が大きすぎます。
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注意点: エコノミークラス症候群や、お腹の張りを防ぐ必要があります。
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アクション:
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クッション・枕代わり: 空気を抜いてコンパクトにできる小さなクッションや、厚手のタオルを多めに。
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移動の制限: 重いリュックを自分で背負うのは避け、パートナーが全ての荷物を持ち、妊婦さんは歩行に専念できる体制を必ず組んでください。
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5. 心の安定:妊婦特有のストレスケア
災害時の強いストレスは、お腹の赤ちゃんにとっても、母体にとっても影響が出ることがあります。
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注意点: 「何かあったらどうしよう」という不安は、情報の遮断や孤立から深まります。
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アクション:
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情報源を確保: スマホのバッテリーだけでなく、手回し充電器付きのラジオなど、外部の情報が入る手段を確保してください。
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かかりつけ医への確認: 緊急時にどこへ連絡すべきか、母子手帳にメモし、パートナーとも情報を共有しておきましょう。
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【今すぐできること:チェックリスト】
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防災バッグの中身確認: 妊娠バッジ、破水時に備えた大きめの生理用品(産褥パッド)、サプリメント、母子手帳は入っていますか?
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逃げ道の再確認: 妊婦さんの足で、避難所まで何分かかるか実際に歩いてみたことはありますか?(車での移動ルートもあわせて確認)
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パートナーとのルール: 「今日、もし私が一人で家にいる時に豪雨が来たら、どこに逃げればいい?」を今夜話し合ってみてください。
妊婦さんの安全は、ご家族全員の安全の出発点です。ご自身の体調を第一に考え、過剰なくらいに早めの行動を心がけてくださいね。応援しています。
妊婦さんだからこそ、やっておきたい3つのこと
- 母子手帳は「命のパスポート」: 常に持ち歩くバッグに入れ、緊急連絡先や既往歴を書き込んでおきましょう。スマホでの写真保存も忘れずに。
- 「転倒」を防止する: 妊娠中は重心が変わり、転びやすくなります。家具の固定を再確認し、寝室には倒れやすいものを置かないようにしましょう。
- かかりつけ医との相談: 災害時の受診ルールや、服用中のお薬について、妊婦健診の際に主治医と確認しておきましょう。
お守りセット:非常持出袋の工夫
重いものは避け、リュックの重さは5kg程度を目安に。妊娠バッジ、破水時に備えた大きめの生理用品、サプリメントなどを入れておくと安心です。

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