妊娠糖尿病や高血圧症候群、産道に脂肪が付くと難産になる・・・
なんて聞いたりすると、妊娠中の体重管理に神経質になってしまうのは仕方のない事です。
また、赤ちゃんが巨大児や低体重児、二分脊椎症などにならないように必要な栄養素もしっかり摂るのも大切ですし。
尿糖や尿タンパク、妊娠中の感染症などの検査もあるので、気楽なマタニティライフってわけにもいかないのね・・・なんて感じる事もあります。
このページでは、妊娠中の体重管理ダイエットに役立つかもしれない『トマト』のお話と、妊婦さんの体重管理について一緒に見て行きたいと思います。
妊娠中のダイエットにトマトは使えるの?
妊娠中の体重管理ダイエットにトマトを使うというのはもちろん大丈夫です。
残留農薬の危険性さえ取り除くようにちゃんと水洗いをしてから食べて下さい。
ただし、トマトしか食べない危険な『偏食ダイエット』はやめましょう。
というのも、トマトのヘタを取った可食部100gあたりで、先ほどの妊娠中に必要な栄養素がカルシウムと鉄分、葉酸も不足してしまうからです。
逆に、トマトだけでこれらの栄養素を必要充分な量を摂ろうと思うと、カロリーオーバーになってしまいます。
トマトの可食部100gあたり(小さめ1個分相当)のカロリーは19kcalなのですが、葉酸の場合の必要量を摂取するには、大きめのトマトで7個。小さめのトマトでは21個ほど必要になります。
また、カルシウムはもっと欠乏します。小さめのトマトでは100個。大きめのトマトでも30個ほど必要になります。
確かにトマトにはリコピンやβカロテンなどの栄養が含まれていますが、あくまでも主食ではなく補食として扱いましょう。
100gあたりのカロリーが19kcalと聞くと、かなり低カロリーに思えるかも知れません。
しかし、大きめのトマト(1個当たり300g平均)では、60kcalです。
これを葉酸や鉄分の必要量で計算すると、とんでもないカロリーになってしまいます。
ですので、ほうれん草やレタス、キャベツなどの野菜サラダにトマトを多めに加えて満腹感を助ける程度と考えてもらった方が良いですね。
もし妊娠中にトマトを食べすぎたらどうなる?
カロテン(ビタミンA)は大丈夫?
妊娠中にトマトを食べると4つのメリットが期待できる
免疫力が高まり体調が崩れにくくなる
妊娠中も美しさを守ることができる
葉酸を摂取することができる
葉酸を摂取することで先天性異常などのリスクを下げたり、赤ちゃんの為にもなります。
つわりを和らげてくれる
妊娠中にダイエットをしちゃダメ?
妊娠中のダイエットはキレイに痩せるためのものではなく、あくまでも自分自身とお腹の赤ちゃんの健康管理のための体重管理が目的です。
産後にキレイになるために体重増加を極限まで気にしすぎて、極端に低カロリーで赤ちゃんや自分の身体の維持のために必要な栄養まで摂れないような極端なダイエットはしてはいけません。
また、極端に空腹を我慢すると、ケトン体が視床下部の命令で肝臓から分泌されてしまいます。
ケトン体が分泌されると、臍帯を通じて赤ちゃんに吸収され、赤ちゃんが将来的にADHDになったりするというデータもあります。
適切な妊娠中は初期・中期・後期の3つに分けて適切なカロリー量があります。
適切な栄養素と必要なカロリーを守って、体重管理をするのが妊娠中のダイエットなんですね。
妊娠中に摂りたい時期別のカロリー
妊娠中の時期別に摂りたいカロリーがあるとご紹介しました。
BMI値の平均的な18~24前後の方の場合の一日あたりの摂取カロリーをご紹介します。
BMI値が25以上のぽっちゃり体型だった方の場合は、体質や個人差に合わせて個別対応となるため、ここでは一概に決めつける事は出来ません。
・妊娠初期の1日あたりの摂取カロリーは『1800kcal』+50Kcal前後
・妊娠中期の1日あたりの摂取カロリーは『2000kcal』+250Kcal前後
・妊娠後期の1日あたりの摂取カロリーは『2000kcal』+450Kcal前後
となっています。
妊娠前にダイエットをされていて妊娠が発覚した時点でダイエットを止めた方は妊娠発覚から16週目までの体重増加の経緯を基準にしましょう。
妊娠初期の摂取カロリーが通常時と変わらないのは、まだお腹の赤ちゃんが小さく、ママの身体の中にある栄養素で充分に育つからです。
ちなみに16週目(4ヵ月末)の段階でも、赤ちゃんの大きさは親指程度なんです。
妊娠中に摂りたい栄養素
妊娠中は、絶対に必要不可欠な栄養素があります。
・葉酸
葉酸は通常時でも240μg(0.24mg)が必要で厚生労働省の推奨値にもなっているのですが、妊活中や妊娠中ではもっとたくさんの葉酸が必要になります。
葉酸の妊娠中の推奨摂取量は400μgとなっています。この理由は赤ちゃんの二分脊椎症などの神経管閉鎖障害を防ぐ事と出産に向けてビタミンB12と共に造血作用があるためです。
・鉄分
鉄分も妊娠中に必要不可欠な栄養素です。
厚生労働省の推奨摂取量は、通常時でも8.5mg。妊娠中の安定期と後期では18mgの鉄分摂取が推奨されています。
この理由は、先ほどの葉酸によって造血された血液の質を下げない事。
血液の質が下がってしまうと、ヘモグロビンに酸素と一緒に結びついて運ばれるはずの赤ちゃんへの栄養と酸素不足。
ママ自身の貧血による転倒や体調悪化を防ぐためです。
・カルシウム
カルシウムは、赤ちゃんの骨の形成に必要です。
さらにもう1つの理由として産後のママの骨粗鬆症を防ぐ事ですね。
厚生労働省では、現在は推奨摂取量を設けていませんが、妊娠中に牛乳を飲んだり小魚とピーナッツのおつまみをつまむなど、積極的に摂りたい栄養素です。
・タンパク質
タンパク質は、人間の身体の根本です。
赤ちゃんのためでも、ママ自身の身体のためでもあります。
タンパク質は動物性と植物性の2種類があるのはご存じの通りですが、妊娠中に大切なのは植物性のタンパク質です。
理由は、動物性タンパク質を摂るとなると、奇形の原因になるビタミンA(動物性レチノール)の過剰摂取が心配なためです。
もちろん、レチノールも必要なのですが(粘膜形成や保護、臓器の形成などのため)摂り過ぎても早産や奇形につながるため、植物性のβカロテンでの摂取が必要なんですね。
妊娠中の体重管理のコツ
妊娠中の体重管理のコツは、栄養とカロリーの管理にあります。
妊娠中は、ホルモンバランスの変化の影響で、太りやすくなっています。
これは、黄体ホルモンの影響で身体の中に水分を溜め込んでしまう特性があるからです。
具体的には
・塩分を控えめにする
・糖質を控えめにする
・脂質を控える
・水分補給を小まめに行う
塩分を控えめにするのは、むくみの予防のためです。
妊娠中は太りやすい体質になるホルモンバランスになっている上に、塩分を摂り過ぎてしまうと、体内の塩分濃度を調節するための本来の機能が働いてしまい、余計にむくみが出てしまうというわけです。
むくみはお産にとっても危険で、出血量も多くなりやすいので、帝王切開になるケースが多々あります。
糖質や脂質を抑えるのは、妊娠中に限らず体重管理をするためには大切ですね。
まったく摂らないというのも、それはそれで問題なのですが『美味しいものは糖と脂で出来ている』っていうTVCMのキャッチコピーじゃありませんけど、やはり抑えたいところですね。
まとめ
妊娠中の体重管理は、栄養とカロリーの管理と言い換えても過言ではありません。
妊娠中にダイエットは良くないと言われますけど、実際には必要な栄養をしっかり摂りながら、余分な塩分や糖質、脂質などを摂らずに、水分をしっかり摂って『溜め込み体質』になっている妊娠中を頑張って乗り越えたいですね。
また、妊娠中の体重管理に対して、とても厳しい産院もあります。
その一方で、体重制限は守ってくれた方が良いけど、ストレスを溜めるくらいなら体重は多少はオーバーしても問題ないという産院もあります。
出産後の検診まではお世話になる産院ですので、自分に合った先生を見つけるのも必要ですよね。
そして自分の性格や生活と照らし合わせて、無理のない体重管理を実践し、健康な母体で元気な赤ちゃんに会いましょう♪