卵かけごはん、すき焼き、カルボナーラ、ラーメンの味玉。妊娠がわかってから、「あ、生卵って…」と手が止まった経験はありませんか。
この記事では、妊娠中の生卵について、公的な資料の数字とあわせて整理しました。資料で食い違うところは、並べて載せています。
『あ、昨日カルボナーラに生卵がのっていた……!』『妊娠に気づく前、普通に卵かけごはんを食べちゃった』。妊娠が分かった瞬間に、それまで何気なく口にしていた生卵のことが急に心配になり、スマホで検索して青ざめてしまう妊婦さんは少なくありません。
【先に結論】
- 大阪府・島根県の資料は、妊娠中の女性には十分に加熱した卵料理をと示しています。島根県はうずらの卵も含めて生卵を避けるとしています
- 避ける理由はアレルギーではなく、食中毒(サルモネラ)の予防。妊娠中の卵除去は、赤ちゃんのアレルギー予防と関連が認められていません
- 卵を避ける必要はありません。避けるのは「生」と「加熱不足」
- 汚染は少ない(数千個に1個程度)が、ゼロではありません
- 食べてしまっても、慌てなくて大丈夫。数日は体調を見て、症状が出たら受診を
※2026年11月時点の情報です。必ず主治医・助産師に確認してください。
この記事でわかること
- 生卵のリスクの大きさ、症状と時期
- 保存・扱い方、加熱の目安
- 食べてしまったときの考え方
【この記事について】公的機関などの公開資料にもとづく一般的な情報です。妊娠の経過や体質には個人差があり、診断や治療の代わりにはなりません。食べてよいかは、主治医・助産師の指示が最優先です。
目次
結論:避ける理由はアレルギーではなく食中毒
「生卵は赤ちゃんのアレルギーと関係があるといわれる」という話もありますが、それは別の話です。
| 疑問 | 資料でわかること |
|---|---|
| 生卵を避けるのは、赤ちゃんのアレルギーのため? | 群馬県サイト掲載の資料(参考文献:食物アレルギー診療ガイドライン2016)では、妊娠中や授乳中に卵や牛乳を避けても、子どもの食物アレルギー予防との関連は認められていません。根拠のない食物除去は、栄養不足のおそれがあり、勧められていません |
| 生卵を避けるのは、食中毒のため? | 大阪府・島根県の資料が、妊娠中の女性には十分に加熱した卵料理を、と示しています。島根県は、うずらの卵を含め生卵を避ける、としています |
つまり、「卵は食べないほうがいい」ではありません。卵は、しっかり加熱して食べて大丈夫です。避けるのは、生卵と加熱不足の卵料理です。
サルモネラのリスク
食品安全委員会のリスクプロファイル(2010年4月)には、次の数字が載っています。
| 項目 | 書かれていること |
|---|---|
| 産卵時の汚染率 | 米国の評価で約0.028%(3,600個に1個) |
| 国内の調査 | 任意調査(2004年、3,000個)で、汚染は0個 |
| 卵の内部汚染 | 数千個に1個の割合 |
| 潜伏期間 | 通常8〜48時間。3〜4日後に発症する例も(最長8.9日の事例) |
| 症状(入院例) | 腹痛約88%、吐き気約62%、嘔吐約52%、発熱約39%、血便約26% |
| 経過 | 発熱は平均約4日、下痢は平均約6日で改善 |
神奈川県の資料(2026年2月更新)では、潜伏時間は6〜72時間(通常12〜24時間)、症状は腹痛、下痢、発熱(38〜40℃)、嘔吐、頭痛です。潜伏時間の数字は、資料で違います。
汚染される卵は、とても少ないのですね。ただ、ゼロではありません。「数が少ない」ことと、「妊娠中に避けなくてよい」ことは、別の話です。
なお、食品安全委員会の資料と神奈川県の資料には、妊婦が重症化しやすい、という記載はありませんでした。大阪府と島根県は、妊娠中の女性を、十分に加熱した卵料理を出す対象に挙げています。妊婦の重症度について直接書いた資料は、今回確認できていません。
保存・扱い方
大阪府の資料(2024年5月更新)、島根県、神奈川県の資料には、次のように書かれています。
- ひび割れのない卵を選び、期限表示を確認する
- 持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫(10℃以下)へ
- 期限内に食べる。期限表示は、生食用卵では「生食できる期限」(大阪府)。期限を過ぎたら、加熱殺菌が必要
- 卵は、使う直前に割る。割ったまま放置しない
- 卵に触れたら、手や器具を洗う。洗ったあと熱湯をかけると、より安心(島根県)
食品安全委員会の資料には、生食用殻付き卵の表示に「10℃以下で保存が望ましい旨」が義務づけられていること、5℃ではサルモネラ・エンテリティディスの増殖が見られず、卵黄に菌を加えた実験では、10℃で7日目以降、25℃で1日目以降に増殖が認められたことが書かれています。
加熱の目安
| 資料 | 加熱の目安 |
|---|---|
| 神奈川県 | 中心部で70℃、1分以上 |
| 大阪府 | 肉と卵は75℃以上で1分以上。目安は、卵黄も卵白もかたくなるまで。ゆで卵は沸騰水で5分以上 |
| 島根県 | 十分に加熱するなら卵黄も白身もかたくなるまで。ゆで卵は沸騰した湯で5分以上。事業者向け基準は70℃で1分以上 |
| 食品安全委員会 | 十分に加熱したオムレツからは菌が検出されなかった。中心温度72℃で半熟のまま止めたものは、多量に菌を加えた分から検出された |
70℃と75℃で、数字が違います。家庭では、温度計で測りにくいので、卵黄も白身もかたくなるまでが、わかりやすい目安だと思います(私の考えです)。
温泉卵や半熟卵が、この「かたくなるまで」に当たるかは、資料に書かれていません。食品安全委員会の実験を踏まえると、妊娠中は避ける側で考えるのが無難です(私の考えです)。
ビビンバなど、料理ごとの注意は、大好きなビビンバ妊娠中に食べても大丈夫?で整理しています。ほかの食中毒は、【妊娠中 食中毒 注意】おうちご飯も油断大敵!「付けない・増やさない・やっつける」3原則で守るママと赤ちゃんの健康や危険な食材チェック!妊婦が避けるべき「生ハム・チーズ」とパスタソースの安全対策Q&Aをご覧ください。
食べてしまったとき
妊娠がわかる前に食べていた。気づかず食べてしまった。そんなことは、よくあると思います。
- 汚染される卵は、数千個に1個程度です(食品安全委員会)。慌てなくて大丈夫です
- 症状が出るのは、通常12〜24時間、遅くて3〜4日後(資料により、6〜72時間、8〜48時間、まれに3〜4日後)。数日は体調を見る
- 腹痛、下痢、発熱、嘔吐が出たら、受診。「妊娠中であること」「いつ、何を食べたか」を伝える
【助産師さんに聞いた、現場のリアルなアドバイス】
『妊婦さんから「妊娠初期に生卵を食べたのですが大丈夫ですか?」と焦ったお電話をいただくことがよくあります。数千個に1個という汚染率ですので、万が一食べてしまってもまずは慌てず数日間ご自身の体調(発熱や下痢がないか)を見てくださいね。今後は外食も含めて、目玉焼きやオムレツなどしっかり中心まで火が通った卵料理を選んでいきましょう』(産科助産師・取材より)
今日からできること
- 冷蔵庫の卵の期限を確認する。10℃以下で保存
- 卵は、卵黄も白身もかたくなるまで焼く・ゆでる
- 外食では「卵なし」か「加熱で」と一言伝える(私の考え)
こんなときは受診を
- 食べたあとに、腹痛、下痢、発熱、嘔吐が出た。受診して、妊娠中であること、いつ何を食べたかを伝える
- 血便、水分がとれない、ぐったりしている(すぐ受診。私の考えです)
- お腹の張りが続く、出血がある(産科へ連絡)
【読者さんの体験談より】
妊娠5週の頃、まだ妊娠に気づかず大好きだったすき焼きの生卵をつけて食べてしまい、後からネットを見て急に不安で涙が出そうになりました。かかりつけの助産師さんに相談したところ『症状がなければまず心配いらないよ、今日から気をつけようね』と優しく声をかけてもらい、すごくホッとしました。それからは卵はいつも両面しっかり焼いて食べるようにしています。(30代・妊娠7か月)
※個人の体験談であり、効果や安全性を保証するものではありません。
よくある質問
Q. 妊娠中は生卵を食べてはいけませんか?
大阪府と島根県の資料は、妊娠中の女性には十分に加熱した卵料理を、と示しています。島根県は、うずらの卵を含めて生卵を避ける、としています。神奈川県の資料と食品安全委員会のリスクプロファイルには、妊婦の記載は見つかりませんでした。妊娠中に生卵が絶対だめ、とまで言える資料は確認できていませんが、避ける側で考えるのが無難です(私の考えです)。
Q. 生卵のサルモネラ汚染は、どれくらいの確率ですか?
食品安全委員会のリスクプロファイル(2010年4月)には、米国の評価で産卵時の卵の汚染率が約0.028%(3,600個に1個)、国内の任意調査(2004年、3,000個)では汚染0個、卵の内部汚染は数千個に1個の割合、とあります。ゼロではないため、数が少なくても注意が必要です。
Q. サルモネラ食中毒の症状は、食べてからどれくらいで出ますか?
資料で数字が違います。神奈川県は6〜72時間(通常12〜24時間)、食品安全委員会は通常8〜48時間で、3〜4日後に発症する例もある、としています。症状は腹痛、下痢、発熱、嘔吐などです。
Q. ゆで卵、温泉卵、半熟卵はどうですか?
島根県と大阪府の資料は、ゆで卵は沸騰した湯で5分以上、十分に加熱するなら卵黄も白身もかたくなるまで、としています。食品安全委員会の資料には、中心温度72℃で半熟のまま止めたものから、多量に菌を加えた分で検出された実験があります。温泉卵・半熟卵は、避ける側で考えるのが無難です(私の考えです)。
Q. 生卵を食べると、赤ちゃんがアレルギーになりますか?
妊娠中や授乳中に卵や牛乳を避けても、子どもの食物アレルギー予防との関連は認められていない、と群馬県サイト掲載の資料にあります。根拠のない食物除去は栄養不足のおそれがあり、勧められていません。ここで避ける理由は、アレルギーではなく、食中毒の予防です。
まとめ
- 避けるのは「生卵」と「加熱不足」。卵自体は、しっかり加熱して食べられる
- 避ける理由は食中毒の予防。赤ちゃんのアレルギーとは、関連が認められていない
- 汚染は数千個に1個程度。でも、ゼロではない
- 保存は10℃以下、割ったらすぐ使う、卵黄も白身もかたくなるまで加熱
- 食べてしまっても、慌てず数日は体調を見る。症状が出たら受診
好きなものを我慢するのは、つらいですよね。でも、期間は限られています。卵かけごはんは、少しお休み。目玉焼きや卵焼きは、しっかり焼けば、変わらず楽しめます。
本記事の参考文献・出典(最終確認:2026年11月4日)
- 食品安全委員会「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル~鶏卵中のサルモネラ・エンテリティディス~(改訂版)」(2010年4月):https://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/risk_salmonella.pdf(汚染率・潜伏期間・症状・保存・半熟の実験)
- 大阪府「卵の取扱い」(2024年5月24日更新。参考資料に食品安全委員会、平成10年厚生省通知):https://www.pref.osaka.lg.jp/o100110/shokuhin/shokutyuudoku/egg.html(保存・期限表示・加熱・妊娠中の女性)
- 神奈川県 鎌倉保健福祉事務所 食品衛生課「サルモネラ」(2026年2月13日更新):https://www.pref.kanagawa.jp/docs/d3x/shokuhineisei/p652.html(潜伏時間・症状・予防)
- 島根県健康福祉部薬事衛生課「卵の衛生的な取扱い」(更新日の記載なし):https://www.pref.shimane.lg.jp/life/syoku/anzen/eisei/kisotisiki/eg.html(妊娠中の女性は生卵を避ける・加熱の目安)
- 群馬県サイト掲載の資料「群馬県内の食物アレルギー対策」(発行日の記載なし。参考文献:食物アレルギー診療ガイドライン2016):https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/20319.pdf(卵除去とアレルギー予防)
※妊婦の重症化のしやすさ、家庭での温度計による加熱の最適値、温泉卵・半熟卵の扱いは、確認できていません。群馬県サイトと島根県の資料は、発行日・更新日の記載がありませんでした。


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